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2015.08.25 政策研究

地域のつながりが命を守る ~自治体が主役 自殺対策最前線~

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自殺の地域特性

 しかも、地域によって自殺の特性が異なるため、そうした地域の実情に応じて連携を図っていく必要がある。
 例えば、若年世代の自殺が多い自治体もあれば、高齢世代の自殺が多いところもある。表1は「20代の自殺率(人口10万人当たりの自殺者数)」が高い自治体上位10を、表2は「80歳以上の自殺率」が高い自治体上位10を記したものである(「自殺実態白書2013」より)。
 あるいは、自治体によっては「自殺者全体の中で被雇用者(勤め人)の占める割合」が高いところもあれば(表3)、学生・生徒(表4)、主婦(表5)の占める割合が高いところもある。

表1 自殺率20代(男女計)表1 自殺率20代(男女計)

表2 自殺率80歳以上(男女計)表2 自殺率80歳以上(男女計)

表3 被雇用者(男女計)表3 被雇用者(男女計)

表4 学生・生徒(男女計)表4 学生・生徒(男女計)

表5 主婦表5 主婦

 平成20年以降、自治体単位の自殺統計が徐々にだが公表されるようになってきており、現在は内閣府のホームページで毎月、全市区町村の自殺統計が当該月の翌月には公表されている。項目についても、自殺者数、自殺率、年代別自殺者数、同居人の有無別、職業別、場所別、手段別、時間別、曜日別、原因・動機別、自殺未遂歴の有無別と、かなり細かい。
 ▶内閣府「自殺の統計」http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/index.html
 また、内閣府が公表している自殺統計を見やすい形で表に落し込んだものをライフリンクのホームページで公開している。これは平成25年に発表した「自殺実態白書2013」に収録してあるものだが、都道府県別に全市区町村の「地域の自殺の基礎資料」を整理してある(http://www.lifelink.or.jp/hp/whitepaper.html)。

地域の自殺対策における課題

 重要なのは、地域の自殺特性を把握した上で、それぞれの地域において必要な対策を講じていくことだ。
 例えば、車を運転している最中に、急にその車が走らなくなったとする。まずどうするか。なぜ車が走らなくなったのか、その原因を究明することから始めるだろう。ガソリンがなくなったのか、タイヤがパンクしたのか、エンジンが故障したのか。車が走らなくなった理由に合わせた対応が必要であり、ガソリンがなくなっただけなのに、いくら一生懸命エンジンを新しいものに取り換えても車は再び走るようにはならない。
 自殺対策においても、同じことだ。問題解決のためには、問題の正確な見立てが不可欠である。失業している中高年男性の自殺が多い地域や、若年世代の勤労者の自殺が多い地域、あるいは高齢女性の自殺が多い地域、学生の自殺が多い地域など、全国で毎年約3万人が亡くなっているといっても地域的な特性は様々なわけで、そうした実情を踏まえて、それぞれの地域に応じた対策を行う必要がある。

清水康之

この記事の著者

清水康之

NPO法人 自殺対策支援センター ライフリンク代表 元NHK報道ディレクター。自死遺児たちの取材をきっかけに、自殺対策の重要性を認識。2004年にNHKを退職し、ライフリンクを設立。10万人署名運動等を通して2006年の「自殺対策基本法」成立に大きく貢献する。自殺対策の「つなぎ役」として日々全国を奔走中。自殺対策全国民間ネットワーク代表。元内閣府参与(自殺対策担当)。内閣府「自殺対策官民連携協働会議」委員。Twitter:@yasushimizu

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