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2015.09.10 議員活動

気がつけば、天職

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走り続けた20年

 私自身は子どもの頃から「女性は経済的に自立しなければいけない」と思っていた。このように思う背景には、幼い頃に母のところにかかってくる叔母からの電話ではないかと推測する。「夫が飲むと暴力をふるうが、子どもたちのために別れられない」という内容の電話が知らず知らずのうちに、幼い私に「経済的に自立した女性」でありたいと思わせてきたと思う。
 就職は「定年まで勤められる会社」で「女性の管理職がいるところ」という基準で探し、初の女性部長のいる大手損害保険会社へ入社した。「女性の部長を目指すぞ!」と意気込んでいたが、その夢はわずか入社1か月で崩れた。初の女性部長は「企業の宣伝広告塔」であり、初めて参加した組合の会合では、結婚後、肩たたきにあった女性社員の問題が取り上げられていた。対外的なイメージと実態が乖離(かいり)している現実に直面した20歳の秋であった。
 次の年の昭和58年からは女性の総合職入社が始まり、四大卒だというだけで短大卒の私たちの先を行く女性が現れた。負けず嫌いの私は、仕事と子育てをしながら放送大学を卒業した。四大卒の資格ができたら総合職になる切符が手に入ると思い込んだのだ。総合職の女性はその後どうなったか。ほとんどの女性が、家庭と仕事との両立に苦しみ退職してしまった。その中で、私は一般職でありながら組合に掛け合い「時間短縮制度」などを提案し、育児休職取得第1号となり、3人の子どもを育てながら20年間仕事を続けた。男性には外に7人の敵がいるというが、女性には同性の敵も存在し、子どもを育てながらの仕事は精神的にも肉体的にも私をタフな人間に育て上げた。
 先日、「あのときはなんで10時に来て4時に帰るという特権をあなただけが使うのか理解できなかったが、あのときあなたが頑張ってくれたから今の働くママは当たり前のように時短がとれる」と言われたときは涙が出た。改革の成果が出るのは時間がかかる。

次の世代のために何をするか

 退職まであと20年間働くつもりが、義母のがんによる入院、夫の単身赴任で退職を決意した。当時40歳の私は、退職するということは、今まで頑張ってきたことが一気に失われるゼロからの出発と思っていた。しかし振り返ってみると20年間の仕事で得たもの、頑張ってきたことは何ひとつ無駄にはなっていなかった。全て「経験」という形で私を大きく支えている。
 自分のためでなく次の世代のために今何をするのかということを考えることは、とても大事な次の世代へのバトンの引継ぎである。人間社会は複雑であるが、次世代に思いを致しながら、もっと自然のままにシンプルに生きていくことこそが本来の理にかなった生き方ではないのだろうか。これは、男性・女性、仕事をする・しないにかかわらず、全ての人生にいえることだと思う。「自分の人生の指針」がしっかりしてさえいれば、どんな環境においてもぶれることはない。自然に気持ちの赴くままに流されていいんだと、そうすれば行き着くところにたどり着くと最近よく思う。私も会社員時代は「仕事をやめざるを得なくなって」とか「会社の中で自分の立ち位置が分からない」とかいろいろな言い訳を並べ立てていたが、環境はどうあれ、自分がやろうと思えば夢をかなえる方策はあるはずである。
 人生がつらいと嘆く人より面白いと楽しむ人が増えたら、どんなに世の中はよくなるであろうか。そのために政治は何をするのか常に考えている。女性は結婚、育児、介護で自分の夢を追いにくいといわれるが、確かにまだまだ大手の会社以外は仕事を続ける環境は十分でない。しかし、環境のせいにしていたら自分の夢なんて追える時間はいつまでたってもつくれない。一番大事なことは、私が子どもの頃に思った「女性の経済的自立」ではなく、「精神的自立」であると考える。ちゃんと大地に根を張って生きれば、どんな嵐が来ても倒れない。親が何でもやってあげる環境ではなく、自分で開拓する精神、生き延びていく方法をこれからは一番学んでいかなければならないのではないだろうか。

加藤啓子

この記事の著者

加藤啓子

流山市議会議員 昭和36年西宮市に生まれる。3歳から25歳まで野田市で過ごす。平成2年から流山市向小金在住。東葛飾高校、立教女学院短期大学卒業後、昭和57年住友海上火災保険株式会社に入社。勤務しながら放送大学を卒業。平成14年に退職。その後、流山市教育委員会東部公民館生涯学習専門員委員、流山市男女共同参画審議会委員等を務める。平成23年に初当選を果たし、現在2期目。平成27年3月、明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科を卒業。26歳を筆頭に3人の子の母。好きな言葉は、「人事を尽して天命を待つ」。 公式ウェブサイトhttp://keikokato.net

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