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2017.08.10 政策研究

【セミナーレポート】議会のチェック機能を本気で考える~市民と議員の条例づくり交流会議2017

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 7月29、30日に法政大学市ヶ谷キャンパスで「市民と議員の条例づくり交流会議2017」が開催され、『議員NAVI』編集部も取材に行ってきました。
 
 今回の大きなテーマは『議会のチェック機能を本気で考える』。このテーマを主軸として、議選監査委員、新公会計制度と決算審査、シチズンシップ教育、議会基本条例について、パネルディスカッションや分科会、全大会が行なわれました。両日の参加者は200名を超え、両日とも天候はあまりすぐれませんでしたが、会場全体は熱気に溢れていました。地方議会初の議会基本条例制定から11年目の今年、改めて今後議会改革を継続していくために、どう考えるかといった議論がなされました。
 
 初日は、まず長野基氏(首都大学東京)より『全国自治体議会の運営に関する実態調査2017 調査結果報告』がありました。全国の議会を対象に実施したアンケート(1485議会回答(回答率83%))を基に、議会基本条例の制定状況や、議会における討議の浸透状況(首長等の反問、一問一答方式の導入、議員間の自由討議)、議会における情報公開、市民参加、政策形成など、議会改革の進度・深度をはかるうえで重要となる項目につき、分析・解説がありました。
 
 続いて、「今あらためて議選監査委員を考える」として、まずは江藤俊昭氏(山梨学院大学)より基調講演がありました。193回国会での地方自治法改正によって議選監査制度が選択制となったことを受け、監査制度は新たな時代を迎えたとしました。改正を踏まえ、どのようにして自治体議会の監視機能を充実そして強化していくのか、今こそ考えなければならないとし、いくつかの提案がなされました。
 
 基調講演の後にはパネルディスカッションが行われ、パネラーとして、馬場伸一氏(福岡市役所)、伊藤真一氏(東村山市議会議長・元監査委員)、桑畠健也氏(所沢市議会前議長・元監査委員)、コメンテーターとして江藤氏、コーディネーターとして廣瀬克哉氏(自治体議会改革フォーラム呼びかけ人代表/法政大学)が登壇し、議選監査委員の立ち位置につき名誉職的になっている、守秘義務との関係で監査委員の経験を活かしづらいなど、議選監査委員の要否、存在意義などの白熱した議論を通じ監査制度や議会のチェック機能のあり方を検討する場となりました。

パネルディスカッションでは監査委員制度の活用等をめぐって白熱した議論が行われたパネルディスカッションでは監査委員制度の活用等をめぐって白熱した議論が行われた
 2日目は、午前中に3つの分科会、そして午後、全体会が開催されました。

  第1分科会では、「新公会計制度と決算審査」をテーマに、宮澤正泰氏(習志野市会計管理者)による講演がありました。新公会計制度に基づく財務書類について基礎的な解説がなされた上で、人口減少に直面している自治体の今後の行政経営を考えるにあたって、今後はこれまで以上に自治体の資産を把握することが重要であり、議会としても新しい財務書類を活用して、予算決算をチェックしていくべきであるといった話がなされました。

熱心にメモを取りながら講義を聴く姿が随所に見られ、公会計への関心の高さが感じられた熱心にメモを取りながら講義を聴く姿が随所に見られ、公会計への関心の高さが感じられた 
 第2分科会は「シチズンシップ教育と議会」として、大畑方人氏(都立高島高校教諭)が講師として登壇されました。18歳選挙権導入を機に、シティズンシップ教育が国レベルでも注目をされており、子ども議会や高校生議会、若者議会等の取り組みや、模擬投票を行う自治体が増えていますが、「議会」が主体的に展開している事例は多くはありません。早くから主権者教育に取り組んできた大畑先生が、「政策討論会」「模擬投票」「議員インターンシップ」等の実践事例をご報告されたほか、自治体議会への期待を語られました。後半は、参加者も参加したワークショップが設定され、高島高校の生徒やPOTETO(教育とメディアを掛け合わせ、「若者が政治を日常的に摂取できる環境づくり」を行う、学生クリエイター集団)のメンバーも参加し、どのようにシチズンシップ教育を活発化できるか、学校や議会、地域社会などアクターごとの検討、活発な意見交換が行われました。キャリア教育としての、地方議会でのインターンシップについても提案があり、今後の各自治体での展開が期待されます。

「伝える」ことを意識しているか、との学生団体『POTETO』からのっ問題提起の一幕も「伝える」ことを意識しているか、との学生団体『POTETO』からのっ問題提起の一幕も 
 第3分科会は、「議会基本条例を改めて学ぶ」として、廣瀬克哉氏(法政大学)、中尾修氏(元栗山町議会事務局長/東京財団)、清水克士氏(大津市議会局)が登壇し、議論が行われました。
 すでに自治体議会の過半数(2017年3月時点で797自治体)が制定するに至った議会基本条例ですが、初期に制定済みの議会では、制定後さらにどのように活用していけば良いのか、次の展開が検討されています。また、比較的近年制定した議会では、10年以上の先行自治体の経験を踏まえて、それぞれの独自の展開が図られつつあります。栗山町議会での制定時の苦労や議論、大津市議会の先駆的な取組みなど、今後議会改革を継続し、深めていくための、示唆に富む議論がなされました。
 
 全体として、会場からの質疑も活発に行われ、議会改革を前向きに進めていくという強い想いをもった方々が参加されているように思いました。「市民と議員の条例づくり交流会議」の次回は11月5日開催予定とのことです。読者の皆さんも参加されてはいかがでしょうか?

◆「市民と議員の条例づくり交流会議」HP
http://jourei.jp/

◆『自治体議員が知っておくべき新地方公会計の基礎知識 ~財政マネジメントで人口減少時代を生き抜くために~』
https://www.daiichihoki.co.jp/store/products/detail/102821.html

『議員NAVI』編集部

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