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2018.06.25 議会改革

小規模市町村の課題 ──『町村議会のあり方に関する研究会報告書』について(その4)──

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東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授(都市行政学・自治体行政学) 金井利之

はじめに

 総務省に設置された「町村議会のあり方に関する研究会」(以下「研究会」という)の報告書(以下『報告書』という)の評釈を開始するといいながら、前回までは、全国町村議会議長会及び全国市議会議長会の見解を紹介してきた。『報告書』の実体内容を紹介する前に、二議長会の意見・コメントを紹介するのは、手順前後ともいえるが、(その1)(本連載2018年3月26日号)でも触れたように、審議手続過程に問題も指摘される『報告書』の評釈には、むしろふさわしいともいえよう。ともあれ、今回から『報告書』の中身を検討することとしたい。

小規模市町村の課題

 『報告書』は3部構成である。第1部は「Ⅰ 社会状況の変化と小規模市町村における議員のなり手不足」である。(その3)(本連載2018年5月25日号)で市議会議長会会長コメントを紹介したところであるが、『報告書』の名称が「町村議会のあり方」といいながら、中身としては「小規模市町村」ということで、市議会も対象にしていることがうかがえる。つまり、研究会にとって重要な線引きは、町村と市の間にあるのではなく、小規模市町村と中大規模市との間にある。(その2)(本連載2018年4月25日号)で町村議会議長会意見が、人口規模での分断と差別を危惧していたのは、『報告書』の立論を反映している。
 もっとも、「小規模市町村」の範囲は自明ではない。『報告書』は、第29次地方制度調査会答申が、人口1万人未満を例示していると言及するが、『報告書』自身の見解を明示してはいない。単に、2017年1月1日現在の実態を、人口1,000人未満、5,000人未満、1万人未満について示しつつ、「各方面の意見を踏まえて検討する必要がある」と先送りしている(3頁)。小規模市町村に課題があるとしながら、何が小規模市町村かは明示しない。
 当然、課題視されたくない個別市町村は、自らは「小規模ではない」という抜け駆け競争を図るようになるだろう。このような「蜘蛛(くも)の糸」を登るような競争に市町村が参入すれば、当然、全ては糸を切られて奈落に行くことになる。地方六団体の1つとしての町村議会議長会の意見は、このような無益な生き残り競争を危惧しているのであろう。

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金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授)

この記事の著者

金井利之(東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授)

東京大学大学院法学政治学研究科/公共政策大学院教授 1967年群馬県生まれ。東京大学法学部卒業。 東京都立大学助教授、オランダ国立ライデン大学社会科学部行政学科客員研究員、東京大学助教授を経て、06年より現職。 専門は自治体行政学・行政学。主な著書に『自治制度』(2008年度公共政策学会賞受賞)、『原発と自治体』(2013年度自治体学会賞受賞)等。

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