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2018.12.10 選挙

第24回 統一地方選挙を住民自治の進化に(下) ――マニフェスト選挙:再考――

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山梨学院大学大学院社会科学研究科長・法学部教授 江藤俊昭

今回の論点:統一地方選挙を住民自治の進化に活用しよう

 2019年統一地方選挙は、地域経営をめぐっての評価と展望が争点となる。また、議員のなり手不足などにも注目が集まるだろう。今回の選挙が従来と異なるのは、それぞれの自治体での「地方創生」の検証が軸に展開されることである(前回の統一地方選挙では動き出したばかり)。横並びで各自治体が勝者と敗者に分かれるゼロサムに代わる地域経営の方向が争点となるべきである。また、議会に代えて住民総会の設置を検討した自治体や、恒常的な夜間・休日議会を設置した議会が、議員のなり手不足問題をどのように解決しようとしているか、そしてその成果はどうなるかは注目点である。
 こうした動向を考慮しつつ、本連載では統一地方選挙を住民自治の進展に活用する手法を考える。選挙を分断の促進ではなく、討議空間の創出として位置付ける(住民間の討議を前提として)。民意による政治(住民側から)と政治家による世論形成(政治家側から)の場としての選挙である。
 この間、二元的代表制=機関競争主義は着実に進展している。それを作動させつつ選挙を住民自治の進展に活用する。議会からの政策サイクルは、住民の意向が起点となるが、その中でも選挙は第一級のものであり、選挙をそのサイクルの中に位置付ける必要性を強調したい。選挙では自治体改革の評価が行われると同時に、今後の改革が展望される。
 住民、議会・議員、首長等の三者関係を視野に入れるが、議会改革の進展が急激であるため、「住民自治の根幹」としての議会を軸に考えていきたい。いわば、議会改革の本史の第2ステージを生かす統一地方選挙である。視点として、分断ではなく討議空間として選挙を位置付ける。つまり、選挙を世論形成の好機(候補者から、住民からという2つの方向を意識する)、討議(合意形成)民主主義の展開の契機として位置付ける。その手法として、討議する軸(ルールや総合計画等の評価や提言等)を設定する。首長のローカル・マニフェストの評価は重要であるが、二元的代表制を意識した説明責任が不可欠である。また、議員や会派のマニフェストは重要であるが、ここでも二元的代表制を意識するとともに、議員・会派・議会といった3つの位相を意識することになる。
 本連載が強調している議会からの政策サイクルと、マニフェストによる政策実現は、矛盾・対立するものではなく、議会からの政策サイクルを豊富化・補完するものである。議会からの政策サイクルを選挙と連動させることで、住民参加において極めて重要なチャンネルである選挙を議会からの政策サイクルに位置付け、任期というタイムスパンを組み込むことになる。
 ① 国政とは異なるローカル・マニフェストを再定義する。
 ② ローカル・マニフェストの今日の争点を確認する。(以上、前回)
 ③ ローカル・マニフェストを豊富化する手法を確認する。(以下、今回)
 ④ ローカル・マニフェストを議会改革の充実に生かす。
 なお、マニフェストの厳格な定義を目指してはいない。一方では「口約」ではない具体的な政策が選挙において不可欠であること、他方ではマニフェストの厳格化は現実性が希薄になることから、マニフェストという用語をアバウトに活用して引き続き用いている。

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江藤俊昭(山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士)

この記事の著者

江藤俊昭(山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士)

山梨学院大学大学院研究科長・法学部教授博士(政治学、中央大学)。 1956年東京都生まれ。1986(昭和61)年中央大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。専攻は地域政治論。 三重県議会議会改革諮問会議会長、鳥取県智頭町行財政改革審議会会長、第29次・第30次地方制度調査会委員等を歴任。現在、マニフェスト大賞審査委員、議会サポーター・アドバイザー(栗山町、芽室町、滝沢市、山陽小野田市)、地方自治研究機構評議委員など。 主な著書に、『続 自治体議会学』(仮タイトル)(ぎょうせい(近刊))『自治体議会の政策サイクル』(編著、公人の友社)『Q&A 地方議会改革の最前線』(編著、学陽書房、2015年)『自治体議会学』(ぎょうせい、2012年)等多数。現在『ガバナンス』(ぎょうせい刊)連載中。

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