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2019.01.28 政策研究

自治体議会改革は、社会とどうつながっているか?

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法政大学副学長 廣瀬克哉

自治体議会改革の12年

 北海道栗山町の議会基本条例が制定されて12年がたちました。このタイミングで、「議会の、議会による、議会のための改革」でなく、自治体議会の改革がその地域の社会にとって何であったかということを改めて問わなければいけないと思います。議会基本条例というものが世の中に登場して、それまでとは違った議会改革が進められるようになって12年を経た今、仮にその効果が出ていないとすれば、何か足りないところがあるのではないか、修正すべき点があるのではないかを検討しなければならないのではないか、ということです。

 栗山町議会基本条例は、2006年5月に制定されましたが、その年の7月に開催した市民と議員の条例づくり交流会議には、栗山町議会から当時の橋場議長と中尾事務局長に来ていただき、議会改革と議会基本条例についてご紹介いただきました。この時点では、当然ながら世の中に1つしかない条例でしたが、これがそのままたった1つの特別な事例にとどまるのか、普遍的な存在になっていくのかは、当時全く分かりませんでした。しかし、その年の暮れに、湯河原町議会と三重県議会で議会基本条例が制定されて、2006年のうちに3本、2007年には12本が制定され、やがて全国で800を超える議会基本条例が制定されるに至りました。このような大きな動きになっていき、自治体議会にとって議会基本条例が「標準装備」といっていいような存在になっていくとは、率直にいって当時全く予測できていませんでした。

 2006年に栗山町議会基本条例の内容を知って新鮮な印象を持って受け止めたのは、議会は議員間討議が基本であるということを明確に条文に明記していることです。「討論の広場である議会」(前文)、「議員相互間の自由な討議の推進」(3条)などが条文に盛り込まれいます。これは市民感覚に合ったものですが、その一方で、わざわざ条文に明記しなければならないというのは、現実はそうなっていないことなのか、という疑問も呼び起こします。それに対して、それまでの議会の実態に普段から接している者にとっては、議会の公式の議事の中では行政への質問、質疑と答弁のやりとりが活発に行われることはあっても、議員同士の討議の時間はほとんどないということが、当たり前になってしまっていました。栗山町議会基本条例は、そんな実態のままでよいのか?という問題提起として受け止められる内容でもあったのです。その後、全国に広がっていった議会基本条例のほとんどは、同じ趣旨の条文を盛り込んでいます。その結果が示しているのは、栗山町議会基本条例の問題提起が、多くの議会によって共感をもって受け止められたということです。

 理念の面では、「議会への市民参加」が大事だということを明記したことも特徴的でした。当時の自治体議会の中では、直接民主主義の仕組みである市民参加が進めば進むほど代表制民主主義の機関である議会が弱くなってしまうという議論が主流といってもよい状況にありました。しかし今では、少なくとも理念としては「議会への市民参加は大事」、「議会への市民参加を推進すればするほど議会の権能は強まる」と議会が自ら宣言することに対して、表立って異論を唱える人は少なくなりました。そして、議会と市民の直接対話の場である、いわゆる議会報告会は、議会基本条例ほどの数ではありませんが、500を超える議会で行われ続けています。2006年の「世の中にたった1つ」であった議会基本条例は、その後12年余の間に、全体の半数に迫る自治体に広がり、普遍化しました。

 このように、この12年余は、議会改革が自治体の改革として定着し、かなりの広がりを見せながら継続して取り組まれたムーブメントといっていいと思います。しかしながら、このような改革の波が多くの自治体に広がっていったということを、果たして議会関係者以外で認識している人がどのくらいいるでしょうか?

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廣瀬克哉(法政大学副学長)

この記事の著者

廣瀬克哉(法政大学副学長)

法政大学副学長、法学部政治学科教授。1958年生まれ。1987年東京大学大学院博士課程満期退学。法学博士。同年、法政大学法学部助教授に就任。1995年から同学部教授。行政学、地方自治専攻。2007年1月自治体議会改革フォーラム発足(呼びかけ人代表)。

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