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2020.04.10

【続々・緊急寄稿】新局面に「住民自治の根幹」としての議会をどう作動させるか~専決処分の限定と今後の議会対応

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山梨学院大学法学部・大学院教授 江藤俊昭

新局面に入った地方自治

 この間の新型コロナウィルス感染拡大は新たな局面に入った。安倍晋三首相は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を出した(4月7日)。「新局面」は、この緊急事態宣言だけではない。新年度に突入したという意味も含めている。この2つの意味での新局面に際して、地方自治が依然として問われている。これを様々なアングルから浮き彫りにすることができるが、まずは以下3つのアングルを設定し、検討することとしたい。

① 緊急事態の対応のほとんどは地方自治体が担うということの再確認を
緊急事態宣言は、対象地域(7都府県)と期間(1ヶ月)を設定したものの、その具体化や、実践するのは対象地域の知事である(1)。もともと、学校の休校などを想定すれば、自治体との連携が不可欠である。緊急事態においては、まさに自治体の対応が問われている(2)

② 国任せではない対応が問われる自治体
 安倍首相による緊急事態宣言後に、各対象地域の知事は記者会見を行い今後の対応を明言した。それ以前にも北海道知事による緊急事態宣言や、大阪府知事の独自な感染者対応策(軽傷はホテルなど)等といった対応を独自に行ってきている。「法的根拠」以前に、自治体は動ける。それにもかかわらず、「法的措置」頼みは、地方自治とは無縁な発想だ。全国知事会は、「休業の損出、国が補償を」提言することを決めた(4月8日)。「闘う知事会」の再登場の機会にもなる。

③ 専決処分賛美に対して、地方議会は住民自治を進める対応を
地方議会は「住民自治の根幹」として、地域経営において重要な権限を有している。首長による専決処分(自治法179)はあるものの、極めて例外的なものである。
 しかし、この例外性を意識しない発言があるのには驚く。例えば、首相の記者会見に続いて、小池百合子東京都知事も記者会見を行ったが、そこで2つの条例制定を発表した(東京都新型コロナウィルス対策条例、東京都における新型コロナウィルス感染症の蔓延の影響を受けた者の権利・利益の保全等を図るための特別措置に関する条例))。条例の内容としては充実した条例だと思われるが(発表内容による。ただし未見)、その発表では知事は「専決で」と説明した。知事は「専決」の意味をどの程度理解されているのか。
 また、4月に入っており、すでに今年度予算は確定し、執行が始まっている。新型コロナウィルスの感染拡大にともなう対応のためには補正予算が必要となるだろう。その際、補正予算を専決処分で行う自治体は問題である(「東京都、新型コロナ対策の補正予算232億円を専決処分へ」(3))。これは専決処分の例外性を意識していない対応であるからだ。このように、危機状況において地方自治、地方議会が問われている。

 本稿では、新局面における地方議会の役割について再確認したい。今回は、その中でも専決処分の例外性の確認とルール化、及び新年度での議会の作動についてである。二度にわたって強調してきたことではあるが、危機状況では日頃の議会改革が問われることを今回も強調する。

江藤俊昭(山梨学院大学法学部政治行政学科・大学院社会科学研究科教授)

この記事の著者

江藤俊昭(山梨学院大学法学部政治行政学科・大学院社会科学研究科教授)

山梨学院大学法学部政治行政学科・大学院社会科学研究科教授  博士(政治学、中央大学) 1956年東京都生まれ。 1986(昭和61)年中央大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。専攻は地域政治論。 鳥取県智頭町行財政改革審議会会長、山梨県経済財政会議委員、第29次・第30次地方制度調査会委員(内閣府)、総務省「町村議会のあり方に関する研究会」委員、全国町村議会議長会「議員報酬等のあり方に関する研究会」委員長、等を歴任。現在、マニフェスト大賞審査委員、全国町村議会議長会特別表彰審査委員、議会サポーター・アドバイザー(栗山町、芽室町、滝沢市、山陽小野田市)、地方自治研究機構評議委員、など。 主な著書に、『議員のなり手不足問題の深刻化を乗り越えて』(公人の友社)『議会改革の第2ステージ―信頼される議会づくりへ』(ぎょうせい)『自治体議会の政策サイクル』(編著、公人の友社)『Q&A 地方議会改革の最前線』(編著、学陽書房、2015年)『自治体議会学』(ぎょうせい)等多数。現在『ガバナンス』(ぎょうせい刊)、『議員NAVI』(第一法規)連載中。

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